「ミステリクロノ」
自らを天使と呼ぶ少女「阿部真理亜」と「遥海慧」との出会いの物語。
この出会いにより「慧」は不可思議な出来事を体験するようになる。
人間の想像を超える道具「クロノグラフ」を巡って展開されるストーリー。
その強大な力を目の当たりにした時、人は自分自身を保つことができるのか。
その力に取り込まれる人の心の弱さが引き起こす事件を描いたストーリーには、いつ、自分がそのような立場になってもおかしくはないのだと考えさせられます。
そんな人間の汚い部分を突きつけられた「真理亜」は人間を拒み続けることになる。
それはごく自然なことだと思う。
自らの欲望のため人を傷つけることを厭わない穢れた生き物。
それが人間なのかもしれません。
今、人は人として存続するに値する生き物なのかどうかを試されているのかもしれませんね。
そして、この作品はそういった人間の闇の部分だけでなく「真理亜」と「慧」、そして仲間達が共に暮らす日々のなかで心を通い合わせる姿を描いているのが良いですね。
「天使」は人の命の制約に縛られることもなければ苦労することもない。
しかし、その代わりに大切な想いを知ることもない。
幼い子供のように何もしらない「真理亜」が「慧」達との生活を通じて、辛いこと、悲しいことを繰り返しながら、人を想う気持ちを知っていく描写がとても素晴らしいです。
人はとても弱い生き物で過ちを犯す生き物だけれど。
そんな我々であっても誰かを想い行動することは他の何にも換えられない大切なことなのだと思います。
「真理亜」と「慧」の物語はまだ始まったばかり。
これからもいろいろな障壁が待ち受けているのだと思います。
人全てを好きになって欲しいとは言わないけれど、「真理亜」にはせめて「慧」とその仲間達を好きになって欲しいなと思う次第です。
これはなかなか面白い作品です。
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ミステリクロノ (電撃文庫 (1471)) 著者:久住 四季 |
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